研修記

世の中の流れを見る

1998.11.04.水

From: 小山昇
Date: Wed, 4 Nov 1998 08:49:35

さて、私は世の中を見るときに、例えば新聞記事はこのように見ています。
新聞に書いてあることの大半は、「A会社あるいはB会社がこのようにします」といった、これからやるということが書いてあります。
そうすると、これを読んだ人は、そうなると勘違いをします。
でも、Aという会社がこのようにしますよと言って、実際にそうしたという情報は中々載っていません。
だから、新聞記事を読むときも、こうするではなくてこうなったということの記事の方が大切です。
「新幹線を長野に」という記事ではなくて、「長野新幹線が走った」という10月1日の記事が大切な記事ということです。
それ以前の記事は、全然大切ではありません。このように見方で世の中の流れを見るということが、大切です。(大半が)

また、小売の状況についても、新聞やテレビでデパートの売上が上がっているとか下がっているという情報がありますが、私はそういうものはあまり信用しません。それよりも、いつもやっている定点観測をします。
私は、世間で賞与が出たら、伊勢丹の新宿本店、三越新宿店、高島屋新宿店の外で、出てくるお客様200人をいつも数えています。
出てきた200人の内、そのデパートの買い物袋を何人持っているか、それが売り上げです。
売れているときは当然紙袋を持ってくる人が多いし、売れなくなれば紙袋を持っていないということになります。
先日、あるセミナーでデパートの出口調査の話を聞きました。
あるデパートで、出てきた方々に「どうしてこのデパートに来たのですか」と出口調査を行ったならば、1番目は親切だから、2番目は楽しいからということです。楽しいからということは、買わないということです。
ウインドー・ショッピングは、楽しいからです。3番目が、いつも来るから。4番目がまあまあの商品があるから。
要するに、来た方の買うという動機については何と4番目で、それもまあまあという事です。
一番嫌なことは何ですかという質問では、「May I help you?」だそうです。
そばに寄って来てあれこれと話しかけてくることです。
では、どうして欲しいのですかというと、「Hello!」こんにちはの一言。これは、ディズニーランド方式です。
また、小売(もの)が売れなくなったことについて、一時は新聞などでは消費税が導入されたからだと言っていました。
でも、実態は違います。一番の原因は、皆さんも箪笥をあけると、服が一杯入っていて、買ってももう入れる場所がないからです。
もう一つは、可処分所得です。給料が20万円の人は、現在2万円の税金を払っています。
これから、どんどん高齢国家になって、税金が上がり医療費が上がってくると、可処分所得がどんどん減ってきます。
おまけに給料が上がらなくなってきます。買いたいではなくて買えない、そういう世の中になってきます。

今まで、世の中はマーケットシェアということが一番大切でした。マーケットシェアが大きければ、売れたのです。
ところが、これからは買う人はお金が少ないから、自分の心の中の自分を満足させてくれるマーケットシェア、心のシェアが一番多いところにお金を使うようになります。ですから、だんだん物ではなくて、心になってきます。
先日も、海外旅行(アメリカ)に行ったのですが、行き帰りオール満席でした。
でも、その人たちが海外に行って物を買っているかというと買っていません。旅行には行くけれども、ものは買わない。
また、先日社員勉強会で「皆さん、テレビを見ていますか」と社員に聞きました。
みんなテレビを見ているというので、「それでは、今一番宣伝をやっている業界はどこですか、あるいはどこの会社が、
どの商品が一番テレビ宣伝をしていますか」と、聞きました。A会社、B会社、C会社と皆さん答えました。
でも、それは全部不正解です。
正解は、テレビ局の自社の宣伝です。それは、コマーシャルをだす会社がないからです。
ということは、世の中の会社が倒産をするとか、コマーシャルを出す体力がないということです。
(テレビもギャラが高いタレントより、社員であるアナウンサーが画面に多く登場する。)
もう一つは,デジタル衛星放送のチャンネル数が増えて、見る人が減ったということです。
これは、お客様のニーズが変化しているということを如実に現しています。
ですから、見ようと思ってみていないと、物事がよく見えないということです。

もう一つテレビで見てみると、非常にコストがかかっているテレビ番組が無くなっているということです。
例えば、料理番組であるとか、あるいは旅の番組であるとか、非常にコストのかからない番組になってきています。
そこで、皆さんにクイズです。
日本料理、中国料理、フランス料理、イタリア料理の4つの料理を、共通している2つのグループに分けてみてください。
解答は、最後に載せておきます。

また、景気動向を見るには、先ほどの紙袋のほかには、11月15日の「七五三」があります。
景気の良いときは、値段の高いものが売られます。逆に不景気のときは、子どものものしか売れません。
子どもだけ「七五三」です。子どもは和服を着て、親は普段着。それがバブルの時は、親も和服、子どもも和服でした。
このような社会現象を見ることによって、世の中の景気や動向がつかめてきます。やはり、真実は現場にしかないということです。
ですから、現場を見て世の中の変化を捉えていかなければなりません。
では、どうしたらいいかというと、先人の知恵を借りることです。銀行さんからお金を借りると、利息を払わなければなりません。
ところが、先人や仲間、あるいは社長・先輩などの智恵を借りると、それには金銭的な利息を払わなくてもよいわけです。
ですから、自分の考え方を自己主張するのではなくて、どんどん人の知恵を借りるということが大切です。

世の中はうまくできている

人間というものは、自分には保守的ですが、人に対しては革新的です。
自分以外の人を何とか変えようとするけれども、自分は変わろうとはしません。これが、人間の本能であり、属性です。
自分だけは平穏でいたいと思っていつも行動しても、嵐はやってくるものです。
どんな人にも、それを飛び越さなければならないハードルが現れ、それは逃げても逃げても別の場面でやってきます。
だから、解決しなければなりません。人間は、何が幸いするかわかりませんし、世の中はきちんと貸借が合うようにできていると思います。
例えば、親を早くに亡くした人は、子どもの時に寂しい思いをします。子どもの時に親がいた方は暖かく育てられます。
でも、それから30年40年経つと、今度は親がいなかった人は親の面倒を見なくてすみます。
これは非常に経済的でもあります。
ところが親がいた人は、親の面倒をみなければいけません。本当に世の中というのは、うまくできているなと感じます。

マイツール昇格試験 その3

我が社のマイツール課長昇格試験について、今回は採点をどのようにしたかということについてご紹介いたします。
採点は簡単にできます。マイツールWANに受験者各自が答えを書き込みます。
答えが書き込まれたら、あらかじめ書き込んでおいた正しい答えとその人が書き込んだ答えをTP命令で引き算をします。
答えが“0”になると正解です。ですから、マイツールのTP命令は、答えが正しいかどうかを検算できるコマンドです。
これに対して TM命令は、皆さんご存知のようにデータの入力が正しいか正しくないか検算できるコマンドです。
このように、我が社では計算した結果が正しいかどうかというのは、あらかじめ答えを置いていて、TP命令で“0”になれば正しく、プラスになったりマイナスになれば、どこが間違っているかがわかります。
採点をする順番はボイスメールに、回答を書き込んだと報告した順です。

クイズの正解
「日本料理とフランス料理」、「イタリア料理と中国料理」
おそらく、ほとんどの方が日本料理と中国料理、フランス料理とイタリア料理と地域的に近いということで分けたと思います。
でも、現実は、イタリア料理は中国料理と同じように油を使って炒めるものが多く、フランス料理は、盛り付けや飾りつけなどは日本料理と同じものがあります。
ですから、物事を見るときにそういうポイントがずれると、見えるものも違ってきます。

これはマイツールにマガジンに連載したものです。
連載55 社長の決定
マイツールによる長期経営シミュレーション

株式会社武蔵野 小山昇